【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第10章 プリンセスと秘書
[ワイン会社、
二国間貿易締結3周年記念パーティー
シュタイン経営者・・・ゼノ=ジェラルド
ウィスタリア経営者・・・ルイ=ハワード]
(え・・・・・・)
渡された招待状に書かれた名前に、
私は目を見開いた。
「これって・・・」
(ルイが経営してる会社の・・・?)
心の中で自問すると、
ルイが冷たい声を響かせる。
ルイ「・・・その招待は断ることもできる」
ジル「・・・・・・・・・」
ルイ「きっとつまらないパーティーだと思うから」
視線を伏せて呟くと、
ルイは廊下に出て行ってしまう。
「え・・・ルイ、どこ行くの」
ルイ「・・・少し出てくる。・・・・・・手伝ってくれて、ありがとう」
「・・・・・・」
返す言葉が見つからないまま、
遠ざかっていく背中を見つめた。
(・・・そういえばルイの仕事のこと、何も知らない)
「ジル、ルイはこの会社を経営してるの?」
ジル「そういえば、貴女には何もお話ししていませんでしたね」
ジルはルイの後ろ姿から視線を逸らして、
私に視線を移した。
ジル「この会社以外にも何社もの会社を経営しています。しかし・・・、確かに経営者ではありますが、その実権を握っているのは現・国王陛下です」
(・・・・・・なんだか、含みのある言い方)
「・・・経営を、一任されてる・・・ってわけじゃなさそうだね」
話をするジルの表情からそう言うと、
ジルはほんの一瞬目を見開いた。
ジル「・・・何か、お察しですか?」
「・・・別に。ただ・・・」
(ルイの部屋や言動・・・それに、今のジルの表情・・・・・・)
「・・・そう、思っただけ」
ジル「・・・そうですか」
裏に何かある・・・そう思うけれど、
根拠も何もない。
ジルが伏せてるってことは、
知られたくないことなのかもしれない。
(でも・・・)
「・・・ルイはパーティーに来て欲しくなさそうだったけど」
ジル「その招待状はハワード卿ご自身ではなく、従業員が手配したものでしょう。このパーティーは隣国、シュタインで開かれます。・・・その場では貴女の一挙一動が、全て二国間同士の信用に関わってきますから・・・・・・」