• テキストサイズ

【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第9章 親善パーティー大作戦


 その一台を皮切りに
 次々と教会前の広場に車が止まり、
 降りてくる人の中に
 見慣れた姿を見つけた。

カイン「・・・ったく、なんでこんなとこで親善パーティーをやんだよ」

ノア「さー?でも、たまには雰囲気変わっていーんじゃない?ね、ルイ」

ルイ「二人とも・・・うるさい」

(・・・三人とも、来てくれたんだ)

 約束をしたルイはともかく、
 カインは公務に関しては真面目だから
 来ると思っていたけれど、
 ちゃんとノアも来てくれたのが
 嬉しかった。

 言い合いながら歩く三人を見つめて
 口元を綻ばせると、
 一際大きな車がゆっくりと停車した。

ユーリ「・・・零様、あれがウィルツの国旗だ」

 ユーリの言葉に視線を向けると、
 大柄な男性が降りてきた。

(・・・あの方を、私がおもてなしする)

 ゆっくりと車に近づき、
 私は丁寧にお辞儀をした。

「お初にお目にかかります、国王陛下。ようこそ、ウィスタリアヘ」

国王「初めて会うな、プリンセス。お招きありがとう。・・・しかし、なぜこのような場に呼んだ?」

「はい、本来でしたらお城へご招待するのが礼儀だと存じておりますが・・・ここは、このウィスタリアで一番歴史がある場所だと聞きました」

国王「・・・聞いた、とはついさっき知ったような口ぶりだな」

 私の言葉に、
 国王陛下が怪訝な表情を浮かべる。

「ええ、私はほんの数日前にプリンセスになったばかりですので、まだこの国のことを良く知りません」

(・・・本当のことだけを、伝えたい)

「一番歴史があるということは、この国の始まりの場所・・・そう思い、今日はこの場所にお招き致しました」

国王「・・・・・・どういうことだ」

 戸惑う国王陛下に淡く微笑むと、
 ユーリの声が聞こえてきた。

ユーリ「プリンセス、準備が整いました」

「・・・・・・」

 ユーリの声に私が静かに頷くと
 わっと歓声が上がり、
 階段に置いたキャンドルに
 次々と灯りが灯されていく。

ルイ「・・・・・・っ・・・」

カイン「・・・あいつがこれ、用意したのか?」

ノア「キャンドルに火点けてくれてるの、街の人たちだねー」

 幻想的な光景を眺めながら、
 私は国王陛下に向き直った。
/ 221ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp