【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第7章 貴方と私の関係性
――・・・・・・そして翌日から、
私の本当の意味での
プリンセスとしての日々が始まりを告げた。
「・・・――よって、現在はハワード領地を中心に、シュタインとの貿易が盛んに行われている・・・」
レオ「うん、完璧。零ちゃん覚えがいいね。教える予定のところ、あっという間に終わらせちゃうし」
教えてもらったことを
復習しながら答えると、
レオが困ったように笑いながら
褒めてくれた。
私は朝から宮廷官僚のレオの元で、
勉強に励んでいた。
レオは、若輩ながら他の官僚たちに
一目置かれる存在だという。
「それはどうも・・・」
手元の資料をノートに書き写しながら
お礼を言うと、レオが笑った。
レオ「つれないなぁ、零ちゃん」
お堅い宮廷官僚には似つかわしくない
砕けたレオの雰囲気は、
不思議とリラックスできた。
「・・・・・・私はこの国の人間じゃないから、ジルに言われた通り、覚えなきゃいけないことが多い。今、私がするべきことは、この国の歴史と現状を早く理解して公務を行うこと。・・・だから、覚えられることは、全部この場で覚えておく」
レオ「うん、そうだね。でも零ちゃん、根の詰めすぎはよくないよ?」
顔を上げると、
少し真面目な顔をしたレオと目が合う。
レオ「零ちゃん、よく聞いて?零ちゃんが焦る必要はどこにもない。だから、肩の力を抜いてもっとゆっくりいこうよ」
ふっと目元を和ませるレオに、
私は少しの間を置いて頷いた。
「・・・レオ、暇ができたら勉強したいから、何冊か本を貸してくれない・・・?」
私がそう言うと、
レオは頭を抱えて苦笑いした。
レオ「・・・零ちゃん、今俺が言った事聞いてなかったでしょ」
そう言いながらもレオは
私に数冊の本を貸してくれる。
私がレオからその本を受け取ると同時に、
執務室の扉が叩かれた。