【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第6章 プリンセス、始めます。
ガラスの靴に選ばれて、
プリンセスになった翌日・・・――。
「・・・・・・・・・・・・」
(・・・何、これ)
浅い眠りから目覚めると、
ベッドの脇には数人のメイドさん。
メイド「おはようございます、プリンセス。朝のお支度のお時間でございます」
「・・・・・・・・・は?」
寝起きの回らない頭のまま、
メイドさんにベッドから引きずり出され、
呆然としたまま着替えさせられる。
(・・・何がどうなってるの)
目の前の自分が映る鏡に問うけれど、
もちろん答えは返ってこない。
すると、ノックの音が響いて
ユーリが部屋に入ってきた。
ユーリ「おはよう、零様。もうすぐ朝食の時間だよ」
いつもと変わらないユーリの笑顔に、
少しだけほっとする。
ユーリ「あ、そうそう。朝食が終わったらジル様のところに行ってね」
食堂までの廊下を
二人で肩を並べて歩いていると、
思い出したようにユーリが言った。
「・・・わかった」
私の返事を聞くと、
ユーリはにっこり微笑んで
食堂の扉を開けた。
カイン「おい、ノア!寝ながら飯食うな!」
ノア「んー・・・かろうじて起きてるよー?」
ルイ「・・・・・・カイン、朝からうるさい」
カイン「あ?ルイてめえ、今何つった!」
ユーリ「はいはい、ストーップ!」
ユーリが両手を大きく広げ、
三人の言い合いを止めに入る。
(・・・・・・朝から元気だな)
そんなことを思いながら
自分の席に着くと、
ノアが肩に顎を乗せた。
ノア「零、おはよー。元気ないねー?」
「・・・・・・おはよう、ノア。今、すごく眠いから話しかけないで」
ノア「零も俺と一緒だねー」
私の肩に顎を乗せたまま、
へらっと呑気にノアが笑う。
ルイ「・・・あ、プリンセス。そこにあるお砂糖ちょうだい」
「・・・動きたくない。自分で取って」
ユーリ「あ、ルイ様。俺が取ります」
カイン「・・・おい零!さっきからお前、何だその態度!」
「・・・・・・カイン、うるさい。声でかい」
思いっきり顔をしかめて
わざと耳を塞ぐ。
カイン「うるせえ!お前もノアも、もっとしゃきっとしろ!」
ルイ「ユーリ、蜂蜜・・・」