【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第5章 選ばれしプリンセス
そして、
『ロイヤルプリンセスデイ』が始まった・・・―――。
パーティーが行われている
ダンスホールへと続く階段を、
ユーリにエスコートされながら下りて行く。
視線を上げると、
そこはまるで幼い頃に読んだ
童話の中のような光景が広がっていた。
煌びやかなシャンデリアの下、
真っ白なテーブルクロスがかけられた円卓が
まるで花のように並べられ、
その周りにはシャンパンを片手に談笑する
たくさんの人の姿。
ホールへ下りると、
こちらに気付いた人たちの話し声が
聞こえてきた。
令嬢「見て!今階段を下りて来られた方、とても素敵・・・!」
紳士「見たことない顔だな。どこかの国の令嬢か・・・?」
ユーリ「皆、零様を見てるよ」
ユーリが隣でこそっと耳打ちする。
「・・・ん」
好奇の視線が
痛いほど身体中に刺さって
嫌でも緊張してしまう。
不安になってそっとユーリを見上げると、
ユーリはふっと微笑んでくれた。
ユーリ「俺がそばにいるから大丈夫」
「うん・・・」
ユーリの言葉に頷いて、
賑わう人ごみの中を歩き出す。
ユーリ「ドレス、クロード様に頼んで正解だったね」
「・・・え?」
歩きながらユーリが言う。
ユーリ「だって、この中で零様が一番輝いてる」
「・・・っ・・・・・・」
予想もしない言葉に
驚いて視線を上げると、
ユーリは隣で偽りのない笑顔を見せた。
「・・・・・・ユーリに言われても、嬉しくない」
そっぽ向いて呟くと、ユーリが笑う。
ユーリ「もー・・・素直じゃないな、零様は」
(・・・・・・素直になれたら、こんなに苦労してないよ)
ユーリの言葉に心の中で呟くと、
突然声を掛けられた。
紳士「こんにちは、素敵なお嬢さん。よろしければ、私たちとお話ししませんか?」
(・・・え)
ユーリを見上げると、
微笑んで頷いてくれる。
「・・・・・・ええ、喜んで」
私は薄く微笑んで、
シャンパンを受け取ると話の輪に加わった。