【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第25章 夢√編 優しい嘘と最後のキス
(見つけた・・・・・・)
「ルイ・・・」
バルコニーの手すりに手をついて、
星のない夜空を見上げていた視線が
ゆっくりこちらに向けられる。
「ルイ、・・・・・・おめでとう」
ルイ「・・・・・・え」
「カインとノアに、さっき聞いた。・・・次期国王になることを決めたって」
ルイ「・・・そう」
ルイは呟くと、
手すりから手を離して私に向き直った。
ルイ「零。俺は、このウィスタリアの次期国王になる」
「・・・・・・うん」
ルイ「君といるうちに、自分の出自も受け止めて、全てを守っていこうと思えるようになった。・・・孤児院も・・・会社も、国も」
ルイから紡がれる言葉の一つ一つに、
言いようのない不安を感じる。
(ルイ・・・、何を言おうとしてるの・・・?)
心の中を悟られないように、
私は口を開いた。
「・・・次期国王になったら、背負うものは増えるけど・・・もっと、多くのものを守れるようになるね」
ルイ「そうだね。・・・けど」
ルイの顔から、
表情が夜風に吹かれて消えていく。
(ルイ・・・・・・?)
ルイ「・・・君だけは。君のことだけは、守れない」
(・・・っ・・・・・・)
その言葉に、
ぎしりと胸が大きく音を立てた。
「・・・・・・どういう、こと」
発した声はひどく掠れていた。
ルイ「・・・公爵の家柄の子と縁談を結ぶと、告げられた。宣言式の時に、婚姻を結ぶ」
「っ・・・・・・」
ルイ「それが、次期国王になるための条件だ」
(・・・そんなの、聞いてない)
「・・・ルイは、その条件を・・・前から知ってたの」
ルイ「違う。・・・・・・聞かされたのは今」
(・・・・・・絶対におかしい)