• テキストサイズ

【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第3章 悲しい夜と誓いの朝


 食堂に入ると、
 少し驚いた表情のジルと目が合った。

ジル「ハワード卿とお会いになられましたか」

「・・・ハワード卿・・・?」

 聞き慣れない呼び方に首を傾ける。

ジル「ええ、彼はルイ=ハワード公爵。この国の第一王位継承者です。ハワード卿、しばらく彼女はこの城に滞在しますので、宜しくお願いしますね?」

ルイ「・・・わかった」

 ルイ様の返事に
 ジルは口元に笑みを浮かべると、
 私たちを食卓へと促した。

 そうして、
 和やかな雰囲気の中晩餐が始まった。

 運ばれてくる彩り豊かな料理に
 舌鼓を打ちながら、明日の段取りを
 簡潔に説明するジルの声に耳を傾ける。

ジル「・・・ですので国王陛下がパレードから戻り次第、式典に移ります。お席の方は明日の朝、確認して頂き・・・」

 和やかな雰囲気を破るように、
 バタバタと廊下の方が
 にわかに騒がしくなった。

(・・・何・・・・・・)

 そう思った次の瞬間、
 食堂のドアが荒々しく開かれる。

ジル「お客様の会食中ですよ、何事ですか・・・?」

 息を切らして駆け込んできた官僚を、
 腕を組んで眉を寄せたジルが窘める。

官僚「も、申し訳ありませんジル様。しかし、国王陛下が大至急、部屋に来て欲しいと・・・!」

 官僚の言葉から感じられる緊迫感に、
 その場にいる全ての者の動きが止まる。

ジル「解りました」

 官僚に先に戻るよう指示したジルが、
 私たちを振り返る。

ジル「さて、私は急用ができてしまったので少し席を外します。ユーリ、後のことは頼みましたよ?」

ユーリ「はい、ジル様」

 ユーリの返事に艶麗な笑みで頷くと、
 ジルは足早に食堂を後にした。


ユーリ「さ、お料理が冷めちゃうから食事を続けよっか」

 固まってしまった空気を和らげるように、
 ユーリがにっこりと微笑む。

「・・・・・・」

(なんだろう、胸騒ぎがする・・・)

 得たいの知れない感覚に襲われながらも、
 私は食事を続けた・・・。



/ 221ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp