【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第17章 守りたいもの
――・・・シュタイン城を後にして、
車は来た道を走り出す。
(・・・一秒でも早く、ルイの元へ行きたい)
少しずつ縮まる距離が
もどかしくて仕方ない。
逸る気持ちを抑えるように
手のひらをきゅっと握りしめると、
運転手さんが不意に呟いた。
運転手「・・・通り雨、ですね」
「え・・・?」
窓の外に視線を向けると、
晴れた空の隙間から
カーテンのように雨が降っている。
(・・・あの日、ルイの心の声を聞いた気がした)
ルイ「一人でいい・・・。ずっと、そうやって歩いて来た」
ルイ「全部、自分のためだ」
ルイ「俺は・・・自分を救うために、生きてる」
本当のことなんて、
どんなに考えてもわからないし、
答えを出せる人だってきっといない。
(自分のために生きていても、結局はそれがどんどん重なって、誰かのためになってるんだ・・・)
窓を伝う雨を見つめて
心の奥で静かに想う。
(・・・こんな風に思えるようになったのは、ここに来たからなのかな)
スモークガラス越しに、
ルイの会社に近い橋が見えた。
「・・・・・・っ・・・運転手さん、ここで降ろして」
ゆっくり車が止まり、
私は橋の上に立つ。
(・・・なんでだろう)
この橋の向こうにルイがいると思ったら、
自分の足で歩いて行きたいと思った。
小さく息をついて、
一歩を踏み出したその時・・・・・・――