【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第17章 守りたいもの
雨に濡れた体のまま、
私たちは談話室に向かった。
「ルイ、これタオル」
ルイにタオルを差し出すと、
緩く首を振られる。
ルイ「・・・君のほうが濡れてる」
「私は大丈夫。ルイが使って」
ルイ「駄目、君はもっと自分の心配をして」
「・・・・・・」
こんな時まで、
ルイは自分より私の心配をする。
そのルイの優しさに、
小さく胸が痛んだ。
ぱちっと暖炉の火が
小さな音を立てると、
ルイが静かに口を開く。
ルイ「・・・会社、見て来たんだ」
「・・・どうだった?」
ルイ「従業員はみんな心配そうだったけど、気丈に振る舞ってくれた。・・・だから、余計に守らないといけない。・・・・・・そう思った」
「そっか・・・」
(・・・・・・孤児院と会社の人たちを守ることは、そう簡単なことじゃない)
自分が
会社の経営に携わっていたからこそ、
そう思う。
半端な覚悟だけでは
どちらも失うことになる。
(・・・だけど、ルイはそれをずっと抱えてきた。・・・たった一人で)
ルイ「・・・明日、会社に視察が入るんだ」
「・・・そう。・・・・・・私は、何もないって信じてる」
ルイ「ありがとう。・・・けど、一度失った信用を取り戻すのは、正直・・・・・・厳しい」
ルイが掠れた声で呟いた時、
談話室に二人分の足音が響いた。
カイン「何、しけたツラしてんだ」
(この声・・・・・・)
「・・・カイン、ノア・・・・・・」
聞こえてきた
どこか偉そうな声に振り向くと、
そこにはカインとノアが立っていた。
ルイ「・・・どうしたの」
二人は目を瞬かせるルイを見つめると、
ため息交じりに笑った。