【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第15章 青い鳥とスキャンダル
「・・・・・・っ・・・」
羅列された文字に
言葉を失っていると、
同じ内容を伝える
アナウンサーの声が聞こえた。
アナウンサー「美しい物語ですが、今回の一件をハワード卿はどう解決なさるのでしょう。・・・いずれにせよ、失った信用を取り戻すのは、極めて困難でしょう」
(・・・・・・会社の不祥事だけでも大打撃なのに、ルイの過去までっ・・・)
「・・・アラン。これは、事実なの」
いつもより低い私の声に、
アランは眉根を寄せると
唇を噛み締めてから告げた。
アラン「・・・・・・報道紙に書かれてることは事実だ」
(・・・・・・・・・)
「・・・おかしくない?」
こんな報道、
私たちが知るより早く出せるわけがない。
「・・・王宮に関わる人の報道内容は、確かジルの許可がいるはずでしょ」
アラン「・・・ああ。ジルがこんな内容、許可するはずねえ」
アランの言葉にただ頷く。
(・・・こんなところで、混乱してる場合じゃない)
「・・・アラン、帰ろう」
(・・・ルイ・・・・・・)
――・・・お城に戻ると、
私たちはその足で
ジルの部屋に向かった。
ジル「・・・プリンセス、アラン」
そこには苦悶の表情を浮かべた
ジルの姿があった。
アラン「ジル・・・ルイの件、報道を許可したのか」
ジル「そんなはずがないでしょう。・・・今回の一件は、何も報告が届いていないんですよ」
(・・・まあ、そうだよね)
「・・・こんなスクープ、マスコミが手放すはずがない」
呟く私をちらりと見やり、
ジルは腕を組み直す。
ジル「テレビ報道そして各種報道紙は、ただちに止めさせました」
アラン「誰がこんなこと・・・」
アランの声を諌めるように、
ジルが息をつく。
ジル「おおかた、会社の不祥事を調べるに伴ってハワード卿の過去に辿りついた・・・といったところでしょう」
アラン「・・・・・・」
静かな沈黙が落ちる中、
アランが黙って踵を返す。
アラン「万が一に備えて、騎士団を城の周りの警備にあたらせる」
ジル「ええ、お願いします」
アランがジルに視線だけで頷いて、
扉を開けたその瞬間・・・・・・――。