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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第14章 名付けることのできない気持ち


 そう思った瞬間、
 ルイの指先が頬に触れて
 心臓が大きく音を立てる。

ルイ「・・・顔に砂、ついてる」

「あ・・・うん、ありがとう。格好悪いね」

ルイ「・・・大丈夫、俺もだから」

「え・・・?」

 ルイは微かに顔をしかめると、
 頬を手で払う。

ルイ「風で顔に、砂がつく・・・」

「本当、まだついてる」

ルイ「・・・うん、自分でもわかる」

 ルイの頬についた砂を払おうとして、
 伸ばしかけた手を静かに下ろす。

「・・・・・・・・・」

 触れたいのに、
 どうしてもルイに触れられなかった。

(・・・・・・この気持ちに、名前をつけちゃいけない)

 伸ばしかけた指先を
 きゅっと握って立ち上がる。

「・・・そろそろ行こう」

ルイ「・・・そうだね」

 潮風の吹く砂浜を、
 二人並んで歩いて行く。



 私たちの後ろには、
 綺麗な足跡の
 平行線が出来ていた・・・――。



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