第5章 いい人?
「いえ、いいんですよ。よく間違われるんで」
あまり気分の良いものではないが、学生に間違われる事は今に始まった事ではないし、別に彼に対して怒りは沸かなかった。
それにこの人、悪い人ではないみたいだしなぁ。
「あと、敬語使わなくていいですよ?さっきみたいにタメ口でいいですから」
「いえ、それは流石に…白水先生、俺の先輩になるわけですし」
「先輩って言っても俺、今年教師になったばっかりの新米ですから。…えっと…」
「あぁ、俺の自己紹介がまだでしたね。科学担当の執間和虎です」
「じゃあ執間先生ですね。…執間先生の方が教師として俺より先輩でしょうし、何よりタメ口にして貰った方が俺も話しやすいですから」
「そう?じゃあ、そうさせて貰おうかな。正直こっちの方が俺も楽だしね。改めて、よろしくお願いします」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
こちらが笑みを見せれば、ようやく執間先生も表情を和らげてくれた。
初めて会ったのに俺のこと助けてくれたし、良い人そうだな。
朝はどんな人が来るんだろうと思ってちょっとドキドキしてたけど、仲良くなれそうな人で良かった。