第5章 いい人?
「あの、もしかして新しく赴任されてきた先生ですか?」
「うん、そうだよ。よく知ってるね」
「やっぱり。校長から話は伺ってますよ。俺、この学校で世界史を担当してる白水八雲です。よろしくお願いします」
「え?」
そこで彼が足を止め、ひどく驚いた表情で俺の顔を見つめてくる。
…なんか変な事言っちゃったかな。同じ教師として、自己紹介しただけなんだけど。
不思議に思ったが、次の彼の一言で全て納得した。
「あぁ…すいません。…いや、てっきり…学生かと」
「あー…」
気まずそうな表情を浮かべる彼に、俺も苦笑する。
そういう驚きだったのか…。
「…すいません」
俺の反応を見て彼が再び申し訳なさそうに謝罪の言葉を述べてくる。