第3章 特別な感情
「まーたいつもの悪趣味か?」
山崎が去った後、銀八がジト目で八雲に視線を向ける。
「人聞きが悪い事言わないで下さいよ。これは愛ですから」
「ハッ…お前の口から聞くと白々しくてしょーがねーよ」
「別に、いいでしょ?誰に迷惑かけるわけでもないし、あいつも喜んでますから」
銀八は大きく溜め息をつく。
心底山崎に同情していた。だからと言って助ける気はない。それに、助けようとしたところでこいつの裏の顔なんて誰も信じない。
「…ホント、お前って下衆だよなぁ。あいつがお前のその本性知ったら、どう思うかねぇ」
本心からそう思った。
八雲は横で小さく喉を慣らし笑うが、その笑みが俺にとってまるで悪魔のように思える。
「そんなヘマしませんよ。だってあの子は俺にとって特別な――」