第24章 ある日の夜の出来事【長編番外編】
「たっだいま~!」
「っ!…酒臭せっ!」
玄関のドアが開くと同時に、恋人である晋助に倒れ込むように抱き付いた。
彼は顔をしかめ少々嫌そうな表情を浮かべているが、それでもグリグリと彼の胸板に頬を擦り付ける。
「てめぇ…どんだけ飲んできたんだよ」
「んー…いっぱーい?」
ヘラヘラと答えると呆れたようなため息が聞こえる。
元々坂田先生と飲みに行く事自体が気に食わない彼にとって、今の自分は面倒で仕方ないのだろう。
だが酒の力がまだ残っているせいか、いつにもなく上機嫌だ。
今なら、色んなお願いを出来そうだ。
「さっさと着替えて風呂に―っ」
言い終わる前に彼の口を塞ぐ。
ぬるりと口内に舌を侵入させれば、彼も抵抗しなくなる。
ピチャリ、クチュリと廊下に響く水音は耳にまとわりつき、酔った身体を更に熱くさせる。
それは晋助も同じだ。いつの間にか彼の腕は自分の腰に回り、ぴたりとくっつく身体から、全身を駆け巡る鼓動が聞こえてくる。
それが分かると、俺は濁音を鳴らしながら口を離す。互いの口から垂れる透明の糸が名残惜しい。
俺はニコリと口元に笑みを浮かべ言った。
「早く、晋助が欲しい。俺のこと抱いて?」