第18章 口説き文句
「なら、そんなまどろっこしい口説き文句じゃなくて、正直にお前の俺に対する気持ちを聞かせてくれよ。それなら叶えてやってもいいぜ」
面食らいながらも探りを入れるように尋ねてくる。
「…そんなのでいいのか?」
「俺はそれがいいんだよ。それが聞きたいんだ」
「…じゃあ…」
小太郎は姿勢を正し、小さく咳払いをすると俺を真っ直ぐと見つめた。こうしていると初めて告白された日を思い出す。
「八雲…愛している」
自然と顔を緩ませながら、目の前の男を抱き締める。彼はゆっくりと腕を回し俺の背中を撫でた。
「…こんな単純な言葉でよかったのか」
耳まで赤くなった彼の顔を横目で見ながら、頷いた。
「最高の口説き文句だったよ」
小さく笑いながら、バカ真面目な愛しい男を、力いっぱい抱き締めてやった。