第13章 そういう男
そうこうしている間に注文したものが運ばれテーブルに置かれる。
メニューの豊富さだけでなく品にもこだわっているようで、目の前のオペラはとても美味しそうだ。
「…いただきます」
フォークを柔らかなケーキに突き刺せばゆっくりとフォークが下に沈む。
一欠片掬い口に運ぶと、口いっぱいにチョコの甘さとコーヒーの苦みが広がる。カカオ特有の香りが鼻をつく。
普段そんなに甘い物食べないけど、これは美味いな。
止まる事無くフォークを動かす。
そんな俺を見て小太郎はクスリと笑いを零した。
「気に入ったようだな」
「あぁ。…美味いよ、これ」
「そうか。なら、来た甲斐があったな」
俺の返事に小太郎は嬉しそうに笑みを浮かべる。