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【ハイキュー!!短編集】Step by Step!

第2章 Sunflower【日向翔陽】



「うーん」と言って、先輩は投げ出していた膝を胸に引き寄せる。

「…いるよ、たぶん。」

「…どんな人なんですか?」

「そうだなぁ…。優しくて、便りになって、お父さんみたいな人、かな…」

ーーー知ってる。

「でもね、その人はすごーく、ものすごーく鈍感で、私の気持ちなんて全然気付いてくれないの…」

ーーー鈍感なのは先輩の方だよ。

「だからね、その人にはなかなか私の気持ち、届かないんだ。ヒマワリと太陽みたいに」

鼻の奥がツンとする。胸がきゅうっとなるのを我慢して、俺は言った。

「…いつかちゃんと気付いてくれますよ、その人!」

先輩は目を丸くして俺を見つめ、そしてまたいつもの笑顔で笑った。

「そうだといいな、ありがとう!」

「おーい、そろそろ練習再開するぞー!」

キャプテンの声。
俺はガバッと立ち上がり、野村先輩に言った。

「俺、いつか野村先輩の太陽になれるように頑張ります!!」

驚いた先輩が何かを言うより早く、俺は「失礼します!」と一礼してくるりと背を向け、皆の元へと駆け出した。
俺の気持ちが伝わったかどうかは分からない。けどこれが、今の俺の精一杯の言葉なんだ。

うるさい蝉の声。
空の青と白い雲のコントラスト。
降り注ぐ直射日光の下、黄色いヒマワリが太陽に向かって揺れていた。




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