• テキストサイズ

【ハイキュー!!短編集】Step by Step!

第5章 不器用な恋【田中龍之介】



龍之介は驚いた顔で私の目を見つめた。視線が合って恥ずかしかったのか、私の頭を無理やり胸に押さえ込む。

「り、龍之介っ…ちょっと苦しいっ…」

「うわっ、スマン!」

身体を離して呼吸を整え、私達は笑い合った。

今まで過ごしてきたよりも、少しだけ近い距離で私たちはまた歩き出した。
お互い無言のまま、コツン、と隣に並んだ手と手が触れ合う。少しだけ間があって、龍之介の手の平が私の手をそっと包み込んだ。
ゴツゴツとして不器用な手だけど、すごく優しくて温かい。

「美人のマネージャーさん…潔子さん、だっけ?龍之介はあんな感じの人がいいんだと思ってた」

「分かってねぇなぁ…潔子さんはな、誰の手も届かない、汚れなき至高の存在だからこそいいんだよ…!!誰だって女神とは結婚できねーだろ?」

「はぁ…」

何その理論…。

「試合、応援に行くから頑張ってね」

「おう、任せとけ!ますます俺に惚れても知んねーからな」

「調子に乗るな!」

静かな帰り道に私達の笑い声が響いた。




fin
/ 42ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp