【ハイキュー!!短編集】Step by Step!
第1章 君のとなり【菅原孝支】
学校に着き、主将の解散、という合図で俺達はバラバラと帰路についた。
気分は落ち込んでいるのに、坂の上から見る夕日はこんな時でも残酷なほど綺麗だ。
途中で大地と別れて一人歩いていた俺は、遠くをトボトボと歩く一人の少女を見つけた。
彼女だ、と直感した。
追いつけない距離じゃない。
少し迷ったが、俺は彼女に声をかけることにした。
「野村、今日はお疲れ」
ビクンと彼女の肩がはねる。
そろそろと振り向いた彼女に、俺は走って上がった息を整えながら言う。
「俺、男バレの菅原。さっきの試合、見てた」
泣いていたんだろう、目が少し赤い。それを気にしたのか、彼女は恥ずかしそうに目を伏せた。
「あ、ありがとう…」
か細い声。
「あんなの見てたなんて恥ずかしい…」
すん、と鼻をすすって照れくさそうに彼女は言った。
「そんなことないよ。頑張ってた」
俺は続ける。
「ああいう舞台で戦えるってすごいよ」
「ありがとう」
彼女は控えめに微笑む。