第4章 出会い
向こうから歩いているさんを俺は立ち止まって見つめることしかできひん。
俺から声かけたほうがいいに決まってる。
さんを呼ぶ声がここまで出てるのに音として出てこん。
おー、やっぱ腑抜けやな俺…
段々近づいてきた距離。
呼ばれる前に声かけな!
「あの!さんですよね?僕のこと覚えてます?」
よし、言えた!
ゔぁあ、けど変な人や思われたかもしれん、どないしよ…
「え?大倉くん?大倉くんだよね?どうしてここに?え?え?」
彼女は困惑した。
そらそうや。俺が来るの知らんかったわけやもんな。
「覚えててくれたん?良かったわー!なんか驚かしたみたいでごめん(笑)今日の同窓会、俺も来ててん。」
もう帰るとこやけどってのは言えない。
「さんは今から参加?」
「そやねん、さっき仕事からやーっと解放されてな…ってこんなとこで喋ってんと、会場行こうよ!」
彼女はにっこり微笑む。
あー俺が見たかったんはこれよ。この笑顔よ。