第20章 ちょっと休憩2
「『あ』」
((………まずい……!))
かなり広い本部の中でばったり会ってしまった太刀川隊の夏海と出水、風間隊の菊地原と歌川
声をあげたのは夏海と菊地原で、瞬時に冷や汗をかいたのは歌川と出水である
「よ、よぉ、菊地原に歌川」
「ど、どうも、出水先輩、夏海先輩」
「どこの誰かと思えば、ランク戦しかちゃんとしない隊長の太刀川隊だった」
『どこの誰かと思えば、A級3位の風間隊じゃない』
夏海は3位というところを異常に強調していった
途端に二人の間で火花が散る
何を隠そう、二人は犬猿の仲なのだ
出水と歌川はがっくりと肩を落とした
『っていうかぁ、あんたもうちょっと先輩を敬いなさいよ!』
「するべきことをしてないやつを敬えるわけないよ」
『風間さんに対しても偉そうにしてるじゃない!』
「してないし!あれは意見をいってるだけ!」
『嘘ばっかり!それに!お兄ちゃんだってやるときはやるもん!』
「じゃあ、風間さんに迷惑かけずにやりなよ!」
『だから、そのあといつもお礼としてご飯奢ったり、お菓子持っていったりしてるじゃない!
しかも、歌歩ちゃんと歌川くんはお礼いってくれるからいいけどなんでお礼を言わないあんたが一本最初に手を出すのよ!』
「僕だって迷惑かけられてるし!なんで僕がお礼言わなきゃならないわけ!?」
『歌川くんたちはちゃんといってるじゃない!風間さんだってわざわざ悪いなっていってくれるのに!』
「うるさいなぁ!そもそもはあんたの兄さんが課題やらないからこんなことになってるんじゃないか!
ソロ1位もそんなことしてるなら誰でもとれるんじゃない!?」
それを聞いた私はさすがに耐えきれなくなった
私の変化に気づいた公平が私を止めようと手を伸ばすがその前に私は口を開いた
『ふざけないで!!
お兄ちゃんはランク戦しかやってないから強いんじゃない!!確かに風間さんとかよりは時間あるかもしれないけど、お兄ちゃんは――――』
「そこまでだ。夏海、落ち着け」
『――!?お兄ちゃん!』
頭に手を乗せられて振り向くと苦笑しているお兄ちゃん
正面に顔を戻すと風間さんに菊地原が怒られていた