第17章 相棒――迅悠一(中)
目を開けるといつのまにか布団に横になっており、また胸に抱かれていた
モゾモゾと動き、頭をなんとか枕元に持っていくと、夏海のきれいな顔があった
迅は夏海を抱き締めた
迅は夏海の顔を見た
無意識に夏海の唇に自分の唇を押し付けた
それは一瞬だったが、すぐ我に返り離れた
布団から出ようと夏海に背を向けると夏海の声が聞こえた
『……………何寝込み襲ってんの』
「……………!!」
夏海は上半身を起こすと大きく欠伸をした
『…………ま、いいけど』
「…………夏海………俺………」
夏海はまっすぐ迅を見る
迅は視線をそらしたがすぐに夏海の目を見た
「………俺、夏海のことが好きだ」
しばらくお互いを見つめあっていたが夏海がため息をついた
『…………それは違うよ。悠一が弱ってるときに私が優しくしたからそう思っただけ。だからその気持ちは――――』
「―――「偽物」って言いたいわけ?」
少し語気を強めると夏海は視線を外した
「…………夏海、こっちみて」
『………』
夏海はこちらを向く気配がなく、迅は夏海の頬に手を添えて正面を向かせた
その夏海の瞳は揺れていた
「…………俺のこの気持ちは偽物なんかじゃない。
いつからとかわかんないけど夏海が好きだ。だから、偽物とか言わないで俺を好きなのか嫌いなのかだけ言って」
『…………私も………悠一が好き…………』
いつもの夏海とは思えない小さくて消えそうな声だったが俺は聞き逃さなかった
夏海を強く抱き締める
夏海も俺の背中に腕を回してそれに応えてきた
『………でも、寝込み襲うとは思わなかった』
「………っ!?……………や、それは………不可抗力…………!」
『……………さいてー』
「…………わ、悪かったって!っていうかそもそも好きな子にしかあんなことしないから!!」
『…………っ』
そう言うと夏海は頬を赤く染めた
すると迅はニヤリと笑った
「あれ?夏海チャン?顔赤いけどどうしたの?」
『…………う、うるさいっ!』