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ワールドトリガー【中・短編集】

第13章 レポート――木崎レイジ


だが、それは長くは続かなかった

『もー!やだ!疲れた!』

「ほら、あとちょっとだろ?がんばれ」

『………じゃあ、レイジなんかご褒美ちょうだい!』

「…………仕方がないな」

「おい。甘やかすな」

風間の制止が聞こえるが気にしていては課題は終わらないだろう

「じゃあ、終わったらなんでも言うこと聞いてやる」

そう言った瞬間夏海の目が輝いた

『ほんと!?よしっ!!頑張る!!』

それからの夏海は凄かった
寝ていたはずなのに太刀川よりも課題を早く終わらせたのだ

「夏海さん早くない!?」

『だって、ご褒美もらえるんだもん!!』

「はははっ!!太刀川やられたな!」

「東さん笑うなよ!」

太刀川は必死に終わらせようと手を動かした

「普段からそれをしろ……」

『風間の言うことは聞かないもんねー』

「なんだと!?」

風間がさっきよりも鋭く夏海を睨む

「……………ちょっ、風間さん!」

「風間落ち着け」

「………俺は落ち着いていますが……!?」

太刀川がその剣幕に怯え、東さんが宥めるも風間の怒りは収まりそうにない

「…………悪い、風間。俺が良く言っておくよ」

「………もういい。疲れた」

『レイジ!行こっ!』

夏海がレイジの腕を引っ張り歩いていく



「ったく、風間は付き合ってくれてるんだから、もうちょっと感謝しろよ?」

『レイジには感謝してるもん!』

「俺だけじゃなくて」

『………だって、風間はレイジを連れていっちゃうんだもん』

「………別に会えなくなる訳じゃないだろ?」

『…………そうだけど…………………』

「………………はぁ、夏海ご褒美は何がいいんだ?」

そう聞くと夏海は黙り込んで考え、俺を見た

『レイジ!』

「…………は?」

『だからレイジ!』

「…………それが何だ?」

『だから!ご褒美はレイジ!』

「…………どういうことだ?」

『………もう!付き合ってって言ってるの!!』

「…………え!?」

あまりにも鈍いレイジに大声で告白した夏海に対し、レイジは珍しく目を見開いていた



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