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ワールドトリガー【中・短編集】

第2章 素直――太刀川慶


太刀川side

『たぁーちぃーかぁーわぁー!!』

俺は今ある女から逃げている
名前は朝霧夏海
ちなみに俺の好きな女だ

『てめぇー!また公平くんにレポート押し付けただろぉーがぁー!!』

いつもはこんな言葉遣いじゃないんだ

「待てって!ちゃんとやるから!夏海止まれ!!」

とりあえずそういうと夏海はピタッと止まった
俺は安心して夏海の方に戻ると、突然頭をしばかれた

「いってぇっ!!何すんだ!」

『あぁ!?』

夏海の顔が一瞬にして鬼の形相へと変わる

「………いえ、何でもありません」

そういった俺に満足したのかニコッと笑って手を引っ張っていった

(ヤバイだろ………今の顔)

俺の顔はきっと赤いだろうが、夏海は前を向いて歩いているため顔を見られていない
とりあえずひと安心だ



俺が夏海を好きになったのはボーダーに入ってからすぐのことだった

入隊した俺は早くBになりたくてランク戦をしていた
俺は同期のなかで一番できると思ってた

だからその日も一番ポイントが高い奴を指名した
そいつが夏海だった

バカだった俺は舐めてかかりあっさりと負けた

『一番ポイントが高いから強いのかと思ったら案外弱いんだね』

その言葉を最後に俺はベイルアウトした

「くそっ!さっきは油断したんだ。もう一回」

夏海はポイントがほしいから俺を指名してきた
今度は絶対勝つ!と思ったが腕を落とせただけでベイルアウトしたのは俺の方だった

悔しかったが夏海の動きはきれいだった
多分その時から意識していたんだと思う

夏海は俺より二週間も早く正隊員になった

で、俺も正隊員になって、夏海と仲良くなっていくうちに好きになったって訳だ


何て考えていた俺は太刀川隊の作戦室を通りすぎたのを見逃さなかった

「おい。どこ行くんだ?」

何だか嫌な予感がして聞いてみる

『風間さんのとこ!』

振り返った夏海は笑顔で可愛いが言ってることは恐ろしい

「何でよりによって風間さんなんだよ!俺は嫌だ!」

『反省するには風間さんが一番きくでしょ』

俺の抵抗は虚しく一時間ほど説教された







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