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ワールドトリガー【中・短編集】

第9章 初恋――三輪秀次


三輪side

廊下を歩いていると朝霧がぶつかってきた
抱き止めたまでは良かったが、そのあと俺が声を掛けるとバッと顔を上げ見てきた

いつもよりも近い距離に不覚にもドキリとしてしまった
頭から邪念を振り払っていると、朝霧が足をもつれさせて俺も道連れに倒れ込んだ

俺はなんとか朝霧を衝撃から身を守った

だが、次の瞬間唇に朝霧のそれが重なった
俺は理解した途端体が石のように動かなくなった

そのあと朝霧は飛び起きて俺から離れ、何回も謝っていた

なぜか俺は怒る気にもなれず、朝霧に声を掛けると朝霧に背を向け歩き出した

(…………はぁ、俺は何をやっている……)

そう、自分に毒づきながらも俺はさっきのキスの余韻に浸っていた

朝霧の唇は柔らかくて、溶けるようだった
石のように体が動かなかったのは事実だか、動きたくなかったのも事実だ
実際、朝霧が離れていったとき、少し物足りなく感じた

しばらく歩いていると、迅が歩いてきた
いつも通り、無視を決め、素通りしようとしたが、次の一言で足が止まった

「いいこと………あっただろ?」

「………なに!?」

「………自分の気持ちに気づいたんじゃないのか?」

「………お前には関係ない」

「………それはどうかな?夏海は結構俺のタイプなんだよねー」

へらっと笑いそういった迅に俺は掴みかかった

「ふざけるな!」

「俺は別にふざけてなんかないよ。秀次よりは夏海を幸せにできる自信あるし」

「!!

…………チッ」

俺は迅を掴んでいた手を離した

「あいつはお前にはやらない!」

俺はそう吐き捨て、朝霧を探しに行った



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