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ワールドトリガー【中・短編集】

第66章 奪い合い―――風間、出水、烏丸


三人がその声の主を見ると―――


ドヤ顔でたっている風間がいた

「えっ、風間さん?」

「まさか――」

『いや!違いますから!』

「何を言っている。恥ずかしがらなくていいんだぞ?夏海」

風間さんが、いつもと違う笑顔で歩いてくる

『待って待って!風間さん!酔ってるんじゃないですか!?』

「酔ってなどいない!」

そういう風間はフラフラとした足取りで私たちの方に歩いてきた

『やっぱり酔ってるじゃないですか!』

酔ってポストと戦おうとした風間さんだ
こんなことを言い出しても不思議ではない

そう思っていたのに



「酔っているが……俺はお前が好きだ」

『っ!』

真剣な瞳で見つめられ、思わずドキッとしてしまったが、やはり風間を好きにはなれない


「じゃあ、誰が好きなんだよ!?」

痺れを切らしたように公平が言った

でも、私は言えない
私の好きな人、付き合っている人は隠したがっているからだ

『それは……言えないけど、付き合ってる人がいる』

「え?」

「付き合ってるんですか?」

「そんなこと知らなかった」

『言ってなかったですし……』

3人は私を疑わしげに見つめたその時

「おい夏海。何やってんだよ」

『カゲ!』

私はカゲのところに駆け寄った

すると、カゲはいきなり私を抱き締めた

「「「なっ!?」」」

『ちょっ、カゲ!』

「おせーんだよ、バカ」

『ごめん。ちょっと色々あって……』

「んだよ、色々って………」

そこまで言った影浦は視線を夏海から、呆然としている3人に向けた

「めんどくせぇ感情向けんじゃねぇよ」

「だ、だって……」

「影浦先輩と夏海先輩はどういう関係なんですか?」

「あ?何って、付き合ってんだよ」

「夏海、俺の彼女になる気はないのか?」

『すみません、風間さん。でも、私はカゲが好きなので……』

そう言うと、3人は俯いてしまった


「ま、そういうことだ」

影浦はその一言だけ言うと、夏海の肩を抱いて歩いていく

その姿を3人は恨ましげに見ることしかできなかった

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