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ワールドトリガー【中・短編集】

第65章  貴女のために―――迅悠一


『………』

目を開けるとそこには白い天井が見えた

「夏海!」

「夏海!?」

その声に顔を動かすと、公平と陽介がいた

『……迅……さん……は……?』

そう聞くと公平は苦笑した

「第一声がそれかよ……」

「迅さんは今任務についてる。あと一時間もしないうちに来ると思うぜ」

陽介の答えに少しがっかりする

『…そっ…か…』

「そう落ち込むなって。迅さんはこの一週間ちょっと、ずっとここにいたんだぜ?
今日やっと任務に戻ったんだ」

「スゲェ心配してたしな」

『………迅さんに、怪我はなかった……?』

「ねぇよ。お前もまだ寝てた方がいいんじゃねぇの?迅さんが来たら起こしてやるから」

公平のその言葉に頷いた

『ありがとう』

「ああ」

公平と陽介が笑うのを見て私は目を閉じた




――――――



優しい手つきで頭を撫でられて目が覚める

『……ん……。……迅さん……?』

「おはよう、夏海」

『公平たちは……?』

「あいつらなら帰ったよ。傷、大丈夫?」

布団の上から腹部を撫でられる

『……はい』

痛くはないが、動かせないため笑いかけると迅さんはにっこり笑って真剣な顔つきになった


「夏海。ずっと目が覚めるのを待ってたんだ。

……俺も夏海が好きだよ」

その言葉を聞いて目を見開く

そうか、私は告白しちゃってたんだ

でも、迅さんも私のこと好きでいてくれたなんて……


『……夢……みたいです……』

「夢だったら困るなぁ。せっかく夏海の目が覚めたのに」

『……ふふ……』

「笑い事じゃないでしょ。心配したんだから」

優しく頭を撫でられて迅さんを見つめると力なく笑っていた

「俺は夏海がいないとダメなんだから。あんな無茶はしないでよ」


『…………。……はい』

「なに今の間は?」

『いえ、何でもありません』




きっと、迅さんが危険な目に遭ったら私はまた無茶をしちゃうんだろう

それほど、私にとって迅さんの存在は大きくて、大切なものだから


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