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ワールドトリガー【中・短編集】

第60章 猫―――風間蒼也


*夢主は猫です



私は捨てられていた


いつからだとか、そういうのはもう記憶にない

気がついたら路上にある毛布を敷いた段ボールの中に入れられていた

でも、興味深そうに見てくる子供はいても誰も拾ってくれずに通りすぎていく

私は空腹に耐えられず段ボールからでた

食べ物を探して歩くも何もない
ゴミを漁ろうとしても人間に追い払われる


そうこうしている間に10日ほど経っていた


フラフラとした足取りで歩いていると、前から袋を持った人間があるいてきた

だが、もう歩けない


座り込むとその人間は私の前で足を止めた
しかし、すぐに歩いていく


諦めて目を閉じたとき、その人間はまた足を止めた

「………おい」

その声に振り向くと、その人間は袋の中からパンを取り出した

『……!!』

久しぶりの食べ物を前にして涎が垂れる

「これ食べろ」

その人間はパンをちぎると地面においた

気力を振り絞りそこまで歩いていきパンにかぶりつく

あっという間に食べ終える私をその人間はずっと見ていた

「これもやろう」

先程ちぎったパンをすべて地面においた
私は目を輝かせてパンにかぶりついた

そんな私を撫でるとその人間は歩いていってしまう

私は慌ててパンをくわえてその人間を追いかけた
足音に気づいたその人間は振り向いて困った顔をする

「ついてきても飼ってやれないぞ」

しかし、私はめげずにその人間のあとを追いかけた

人間は時折後ろを振り向いてまた歩いていく
そのまま後をついていくとその人間の住んでいる家についた

しかし、人間はそのまま中に入って行ってしまう

私は家の前で静かに残りのパンを食べた

この人間の所にいたいが、いつまでもそうしているわけにもいかない
けど、今日だけはここにいさせてもらおう

私は玄関の横で寝ることにした

ここなら急に雨が降っても大丈夫だろう

今までろくに寝ることができていなかった
次第に瞼が重くなってきて寝ようとしたとき、玄関の扉が開いた


と思ったら体が宙に浮き眠気なんて何処かにいって人間を見ると、中に連れ込まれた


中にはいる寸前に表札に「風間」と書かれているのが見えた


そんな場合じゃないと思い、暴れてみても人間は

「そう暴れるな」

というだけである部屋に入れられると温かいお湯が頭から降り注いだ


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