• テキストサイズ

ワールドトリガー【中・短編集】

第58章 猫化―――太刀川慶


『んん………』

体が冷えているのか寒く感じて慶に擦り寄る

すると、慶のたくましい腕が私を引き寄せ抱き締めた



………ん?抱き……締めた!?


ガバッと起きて慶を見ると猫ではなく人間の姿の慶

『慶!起きて!元に戻ってるよ!』

「……んん……?………!うおっ!ほんとだ!戻ってる!」

よっしゃあ!とガッツポーズした慶に抱き締められる

『ちょっ、慶!苦し……っ』

「お、わりわり。でも、抱き締めてほしいんだろ?」

にやり、と笑った慶は私に向かって両手を広げる

『ばか……』

そう言いながらも私は慶の胸に飛び込んだ
昨日とは逆で慶が私を見下ろしている

慶を見上げると、慶は口元を手の甲でおさえ、顔を背けた

「やっぱ、こっちの方が可愛い」

『え?何?』

「何でもない!」

慶は誤魔化すように私を抱き締めたが、私は慶の胸を押し返した

「夏海?」

『………んっ……』

ちゅう

勇気を振り絞り慶の唇に自分のソレを重ねる
すぐに離して慶を見上げると貪るように唇を重ねられた

『んんっ………んふぅ………』

「……夏海……可愛い………」

『ひゃっ…!』

耳元で呟かれて肩が跳ねる

「今日は防衛任務ないんだろ?」

『そう……だけど』

「なら、今日はずっとくっついてたい」

『……!でもっ…』

「……ダメ……か……?」

『……うっ……い…いよ……』

そう言うと、慶はにっこりと嬉しそうに笑い、次の瞬間、獣のような目付きに変わった



今日は人生で一番ドキドキした日だった

でも、一番、幸せな日になったと思う

/ 345ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp