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ワールドトリガー【中・短編集】

第58章 猫化―――太刀川慶


………ここは

そうだ俺たちの作戦室

今日は夏海とのデートで、待ってる間に寝てたのか
すっかり体が固まってしまっていて俺はぐっと伸びをした

「んにゃあぁ」

!?!?!?!?

にゃあ!?俺、今なんて……!?


慌てて手を見るとその手は黒色のような茶色の毛に覆われた獣の手があった

「にゃ!?」

首を回して背中や腹を見てみても毛に覆われている
恐る恐る頭に手を持っていくと、形のいい耳があった

触るとぴくんと反応する


「……………っにゃあぁぁぁぁぁ!!!!」


有り得ない!なんだこれは!?

と、その時


ゴウゥゥーン


作戦室の扉が開いた

俺は咄嗟にソファのかげに隠れる

『あれ?慶?………おかしいな……』

夏海か?

どうやら人間の言葉は理解できるままらしい
俺はそっとソファから顔を覗かせた

やっぱり俺は猫になっているようでいつもは俺の方が背が高いのに、今は随分下から見上げるようになっている

すると、夏海が俺に気づいた

『猫?』

「にゃあ……」

近づいてくる夏海に対して俺は後ずさる
彼女にこんな姿を晒すなんて恥ずかしすぎて死ねる

しかし、そんな俺の気持ちに気づくわけもなく夏海は俺を抱き上げた

『可愛いなぁ……。ふふっ、どこから入ってきたの……?』

俺は項垂れていたが諦めて顔をあげ夏海を見た
すると、夏海は少し間を開けて大きく目を見開いた


『え?慶……?』



「にゃあ!にゃあ!」


俺はまるで目の前にまたたびを出された猫のように目を輝かせた





『どうしたの?慶。この姿』

取り敢えずソファに座り、机に座っている慶に話し掛ける

俺にもわからない、とでも言うように慶は首をふった

うーん、と唸っていると猫になった慶が私の膝に飛び乗り顔を覗き込んできた

その瞳は申し訳なさそうに潤んでいて何を言いたいのかを理解する

『私は平気だよ。デートなんていくらでも出来るし。その前に慶のその体をどうにかしないとね』

「………にゃあぁっ」

慶は私の方に突進してくる
猫のため全く痛くないし、可愛すぎる行為だが、人間の慶なら殴り飛ばしていることだろう

にこにこと猫化してしまった慶を見ると、何かに気づいたのか慶は私を見て少し怯える素振りを見せた


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