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ワールドトリガー【中・短編集】

第56章 駄犬――犬飼澄晴


「東さん。蓮さんにはこんなことしないでしょ?」

「何のことだ?」

東さんはとぼけるように言うと後ろの夏海を見る

「夏海、体は大切にな」

『は、はいっ!』

いつもより少しトーンの高い声が聞こえて、東さんがにっこり笑って階段を上っていく

振り返ると、顔に手を当てた夏海と目が合う

「夏海はさ、東さんが好きなの?」

『………ち、違うしっ……!』

さっきよりも顔を真っ赤にして言う夏海の言葉には全く説得力がない

「そっか……でも、覚悟しといてね。俺は絶対に夏海をオトして見せるから」

『だから――』

「はい、それ以上は言わせないよ」

夏海の唇に人差し指を当てて、それ以上話させない

「じゃあね。夏海」

ヒラヒラと手を振って俺は二宮隊の作戦室に向かった





「二宮さん!どうやったら夏海を振り向かせることができると思います!?」

隊室に入った瞬間、二宮の前でそう叫んだ犬飼
これでもかなり焦っているのだ

「知るか。自分で考えろ」

しかし、冷たくあしらう二宮
そんな二宮を見ても諦めず次にいく犬飼

「辻ちゃんはどう思う!?」

「し、知りません」

「犬飼くん、聞く相手間違ってるわよ」

辻は女子と話すこともできないのだ
そんな辻に聞いても答えが返ってくるはずもない

「じゃあ、氷見はどうやったらいいと思う?」

「東さんには勝てないんじゃ………」

「いや、絶対に勝つ!」

そう犬飼が言い切ると、呆れていた三人も少し微笑んだ

「犬飼、」

「何ですか!二宮さん!」

「取り敢えず、お前らしくいけばいいだろう」

「……!はいっ!」

満面の笑みで頷いた犬飼を見て辻と氷見は顔を見合わせ微笑んだ


絶対に東さんじゃなくて俺が好きって言わせるから……!

そう誓った犬飼だった
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