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ワールドトリガー【中・短編集】

第54章 同僚―――唐沢克己


『唐沢はもう私のこと好きじゃないんでしょ!?なら放っておいてよ!』

「……?何のことを言ってるんだ?」

『とぼけないでよ!私に仕事押し付けておいて唐沢は浮気してるんでしょ!?』

手を振り払って唐沢から離れる

「……は?だから何のこと?」

『まだとぼけるつもり!?』

「確かに俺は面倒で時間がかかりそうな仕事を夏海に任せたけど、それは浮気するためじゃないよ」

『じゃあ、何してたって言う―――』

言葉が言い終わる前に唐沢は私の前で片膝を床についた

『――え?何して……』

「実はこれを用意するために時間が欲しかったんだよ」

そう言って小さな箱を取り出して開いた

その中にはほどよく装飾が施された指輪が入っていた





「俺と――結婚してください」




『……っ……』






ぽろぽろと頬を涙が伝う

怒っていたことも忘れて私は何度も頷いた

「……よかった。

悪かったね、不安にさせて」

『………もういいよ……。浮気してないってわかったし、すごく幸せだから………』


そう言うと


パチパチパチパチッッ

ワアァァァッ

『え!?何!?』

驚いて周りを見渡すと店にいた客、店員が私たちに向かって拍手を送っていた


「おめでとう!」
「お幸せに!」


全く知らない人たちに一部始終を見られていたことがわかって私は恥ずかしくなり顔を伏せた

「ありがとうございます」

隣では唐沢が平然とお礼を言っている

ちらりとその顔を見ると幸せに満ちた顔で笑っているように、

私には見えた



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