第53章 サボり―――当真勇
「オレの彼女……なるだろ?」
ニヤリと笑って私の言葉を促す
『自意識過剰にも程が……』
「違う」
『どんだけ俺様……』
「違うな」
『……。……なる』
「ん?何だ?聞こえなかった」
『!!』
「わりーわりー。オレ耳悪いんだわ」
へらりと笑う当真はトリオン体だ
耳が悪いのは関係ない
ムカついた私は当真の襟をつかんで引き寄せ、耳元で呟いた
「うおっ!?」
『彼女になってあげるわよ』
「……!……正解」
『……わっ!』
今度は私が引き寄せられて抱き締められた
『ちょっ……当真っ』
「好きだぜ、夏海」
『………っ!!』
「オレ空気じゃん」
抱き締め会う二人を見て呟く佐鳥だった