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ワールドトリガー【中・短編集】

第52章 復讐―――三輪秀次


「夏海っ!絶対にあそこに近づくんじゃねーぞ!!みんなと一緒に逃げろ!」

………陽介

「じゃあ、俺たちは行くからな。無事でいろよ?」

………公平




「絶対に無事でいろ」


…………そして、秀次


ごめん、私、死んじゃう………





私は静かに目を閉じた



「夏海っ!!!」



『………え?』


目を開くと、倒れているネイバーの後ろに秀次の姿が見えた


「……」

秀次は静かにこちらに歩いてきた

その顔は明らかに怒っているが、逃げようにも腰が抜けていて逃げることができなかった


秀次は私の前に膝をついて私に手を伸ばした

殴られる……そう思い、目を瞑ったが、私は秀次に抱き締められていた

『……秀次……?』

「……バカ。何故、逃げなかった」

『………ごめん』

「……ここにくる前に子供を拾った……。

「お姉ちゃんが…」って……。

…………本当にバカだ……お前は……」

『……ごめん。けど、秀次が助けに来てくれたから…』

「……当たり前だ……。もう二度と大切な人は失いたくない。

………好きだ、夏海」

『……えっ…と……秀次……?』

「……何だ」

『え……秀次って私のこと好きだったの………?』

「ああ」

『……ああ、って……』

「で?お前はどうなんだ?」

そう言う秀次の顔は自信に満ち溢れていた

『好きだよ!ずっと昔から!今も!』

「フッ……そんなに好きか」

『わ、悪いっ!?』

「いいや、何も悪くない」

秀次がそう言うのと同時に体がふわりと浮いた

「しっかり捕まっていろ」

『えっ!?ちょっ…………きゃぁぁぁあっ!!』


秀次はものすごいスピードで走っていく

まだ残っている家の屋根の上を走っていく

『下ろして秀次!!ってか速い!!』

「耳元で騒ぐな」

秀次の足が止まり、秀次をみたとき唇に何かが触れた

「黙ってろ」

『……なっ…!?』

また、走り出した秀次の胸に顔を埋める

『秀次のバカ……っ』

「お前の方がバカだ」



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