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ワールドトリガー【中・短編集】

第52章 復讐―――三輪秀次


『秀次、大丈夫?顔色悪いよ?』

授業が終わり、秀次の元に駆け寄る

「……別に大丈夫だ……。お前が気にすることじゃない………」

秀次は私を一瞥すると歩いていってしまった

『………そうだね。ごめん』

私と秀次は幼い頃から一緒だった
所謂幼馴染みってやつだ

だけど、四年半前の大規模侵攻で秀次のお姉さんがなくなってから、秀次は変わってしまった

もともとクールな性格だったが人を寄せ付けなくなった

私との間にも線が引かれていて秀次の中に踏み込むことができない

それに加えて、秀次はボーダーに入った
私は親に反対されて入ることができなかった

秀次との距離がさらに広がっていく


「よぉ、夏海!」

ばしんと背中を叩かれて振り向くとカチューシャをした男子

『……陽介……少しは手加減してよ……』

「わりぃわりぃ」

何度もしてきたやりとりにため息を吐いて歩いていってしまった秀次の背中を見つめる

『陽介、秀次のことよろしくね』

「ん?わかってるよ」

『………そっか』

「……。

元気出せって!秀次だってほんとはお前のこと心配してるんだぜ!」

『……ありがとう。でも、気遣わなくていいよ。

……じゃあね』

そう言って陽介に背中を向け、歩き出した

「嘘じゃねぇからな!!」

その言葉に足を止め振り返る

『……ありがとう』

そう言ってまた歩き出した




本部基地

米屋と三輪は作戦室に向かっていた

「秀次~。夏海のこといいのか?」

「何がだ」

「ほら、夏海気にかけてくれてんじゃん?
ちょっとぐらい甘えてもいいんじゃねーの?」

そう言うと、秀次はピクリと反応した

「……お前には関係ないだろう」

「へいへい」

(………ったく…、めんどくせェ奴らだな………)



二人の思いとは反対に距離が広がっていくなか、第二次大規模侵攻が始まった




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