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ワールドトリガー【中・短編集】

第48章 別れ―――米屋陽介


夏海side

こっちに引っ越してきて一週間
クラスにも馴染んできて、楽しいと思えるようになっていた

「夏海ちゃん!今から一緒に遊びにいかない?」

『うん!』

友達二人と買い物したり、プリクラをとったり放課後の時間を使って遊んだあと、少しおしゃれなカフェに入った

「あー、楽しかった!夏海ちゃん来てくれてありがとう」

『ううん。私の方こそ誘ってくれてありがとう』

「それよりさ、夏海ちゃんって彼氏いたことある?」

友達がニヤニヤと口角を上げて聞いてくる
私は苦笑しながらも素直に答えた

『あるよ。同い年だった』

「へぇー。やっぱり!どんな人だった?」

『うーん………。優しくて、かっこよくて、頼りになって、でも、少しバカで……でも、大好きだったよ』

「…………夏海ちゃん。今でも好きなんじゃない?」

『え!?そんなことないよ!私、ひどいことしちゃったし……』

慌てて手を横に振ると机に影がおりた

「…………ああ、本当にひでーことしてくれたな」

『…………え………?』

この一週間、一時も忘れたことのなかった声が聞こえて顔をあげる
そこには、大好きだった陽介がいて―――

『………よ……すけ………どうして…………?』

「どうしてじゃねーよ。勝手にどっか行きやがって。こいつ、借りてってもいいか?」

陽介は友達にそういうと財布から千円を取り出した
友達は呆気に取られていたようだが、何度も頷いた

「じゃあ、………行くぞ夏海」

陽介は私の手をとるとすたすたと歩いていってしまう
慌てて鞄をとって後を追いかけた

『陽介っ!待って!どこにいくの』

「………」

陽介は何も言わずにずんずんと歩いていく
追いかける背中からは怒っているのがわかって、何も言えなくなった


どうして、ここに来たの?


疑問が口を出そうになるがギリギリで抑え込む

「……夏海……」

人気のないところに来ると強く抱き締められた
私も遅れて背中に手を回す

「勝手にいなくなってんじゃねーよ」

『………ごめん………』

「しかも、出水には住所まで教えてたくせに……」

『心配………かけたくなかったから……』

そう言うと陽介は体を離して私と目線を合わせた

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