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ワールドトリガー【中・短編集】

第48章 別れ―――米屋陽介


「なー弾バカ、夏海知らね?」

学校に来て夏海のクラスに来たがいない
普段この時間にはもう来ていて、時間ギリギリに来る俺に呆れているのに

自分のクラスに戻り、出水に聞く

「……………今日は見てねーわ」

出水は少し目を見開くと俯いた

「?どした?元気ねーな」

「………まあ……な……」

いつもとは違い、歯切れが悪い出水に首をかしげる

「何だよ。らしくねーぞ」

「………防衛任務で疲れてんだよ………」

心のなかでそんなわけねぇだろ、と思ったが、今日の出水は確かにおかしい
そっとしておこう

そう思い、自分も椅子に座り、頬杖をついて先生が来るのを待った




「HR始めるぞー」

先生が入ってきて、顔をあげる
前の方に座っている米屋を見ると、先生の方を見ていた

「えー、それでだなー………。急だが朝霧が転校することになった」

「……………は……?」

米屋の顔が固まり、歪んでいく
俺の方を見た米屋の視線から逃げるしかなかった


「どういうことだよ!弾バカ!!お前!知ってたんだろ!?」

HRが終わった直後、周りの目も気にせず米屋が俺の胸ぐらをつかんで揺さぶった

「離せよ!」

「テメー!何で黙ってた!!」

「朝霧に言われたんだよ!!」

「…………は………?」

「お前には心配かけたくないからって……。

あいつの両親、この間の大規模侵攻でこの町にはいたくないって言ったらしい。問答無用で引っ越しさせられることになって、でも、お前に言ったら心配させちまうからっ……て。

それから、私のことは忘れて………って言ってた」

ずるずると米屋が床に座り込む

「んだよ、それ………。意味…………わかんねぇよ……」



そう言った米屋の肩は震えていた
そんな米屋は見たことがなくて、口止めされていたことを言う

「……夏海の住所なら知ってる」

弾かれたように顔をあげた米屋の目は涙で濡れていたが、ゴシゴシと拭うと俺の肩を掴んだ

「教えろ!どこだ!?」


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