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ワールドトリガー【中・短編集】

第46章 名前―――荒船哲次


『ねえねえ、澄晴!』
『あ、そうだ!鋼!』

「……………」

『ちょっと雅人聞いてる!?』
『尋ー!なんとか言ってやって!』

「……………」

『勇!ちゃんと訓練出なよ!東さん困らせるな!』

『ねぇ!荒船!』

「………そうだな……」

「どうした?荒船。何かあったか?元気ないぞ」

『あ!篤!篤からも言ってやって!』

「当真はそれでも一位だからな」

『それ誉めちゃってる!荒―――』

「ちょっとこっちに来い」

『わわっ!待ってよ!』

夏海の腕を掴んで無理矢理引っ張る
あいつらの姿が見えなくなったところで立ち止まった

「おい」

『んー?』

首をかしげて俺を見る夏海から目を逸らす

「………その………なんで俺だけ名字なんだよ………!」

『…………』

返事がないと思い、ちらりと夏海を見ると驚くほどににやにやしていた

『へー………それって…………ヤキモチ?』

「ばっ………ちっげぇよ!!」

『ふふ、かーわいっ』

「かわいいって言うな!」

『で、名前で呼んでほしいの?』

「……まあ、そういうことだ………」

『じゃあ、――――私をドキドキさせることができたら呼んであげる』

「ハァ!?」

『できなきゃ、名前で呼んであげなーい!』

「………わーったよ。やるって」


夏海の腰を引き寄せ、頬に手をあて、目線を合わせた

ゆっくりと顔を近づけキスをする
すこし、顔の赤い夏海の耳元で呟いた

「好きだ、夏海。
……俺の名前………呼んでくれねぇか………?」

いつもより低く、甘い声で



『……ひゃあっ!』

最後に夏海の耳朶を甘噛すると夏海の口から声が漏れた




「――――――どうだ?」

『………だ、ダメね。………全くドキドキしてない!』

「嘘つけ!顔赤いじゃねぇかよ!」

『こ、これは!暑いからよ!』

「今冬だぞ。全く暑くねぇ」

『……うっ………え、えーと………』

「そんなに俺の名前を呼ぶのが嫌なのか?」

『ち、違うよ!そうじゃなくて…………呼べないってゆーか…………』

「どういうことだ?」

『……だ、だから…………恥ずかしい………から……』

「…………なんだそれ」

『そんな目で見ないでよ!』


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