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ワールドトリガー【中・短編集】

第42章 生理痛―――迅悠一


『……うぅ………』

私は生理で痛む腹を押さえながら本部の廊下を歩いていた

「やぁ、夏海」

しかし、今一番会いたくないやつが目の前に現れた
そいつはいつもヘラヘラと笑っていて、それなのに、サイドエフェクトで少しでも多くの人を助けようとしている
迅は他の人には頼れと言うのに、自分は弱い部分を見せない
そんな迅が私は大嫌いだった

『……何の用………?』

立ち止まって睨みながら問いかける
しかし、迅は変わらずヘラヘラと笑っている

「夏海は俺の横を通りすぎて行こうとするけど、そうしたら、倒れちゃって俺が介抱するんだよね」

『ふざけないで……!あんたの介抱なんか誰も頼んでいないわ……!』

「やれやれ、そう言うだろうなと思ったよ」

『!?ちょっと!!』

迅はため息をつくと私の膝裏に手をいれて持ち上げた
自然と横抱きにされる

『ちょっと、離して!』

「このまま行ったら、夏海無理しちゃうだろ?」

『迅には関係ないでしょ!』

「関係あるって」

『ないってば。だから、下ろして』

迅の胸を押して離れようとするが、迅は更に力をいれた

「やだね。俺のうちにつくまで下ろさないから」

『どうして迅の家なのよ!』

「見張ってないと、夏海家でゆっくりしないからね」

『………』

「ほら図星。わかったならじっとしててね」

そう言って笑った迅を見て顔に熱が集まる
いつものムカつくヘラヘラとした笑顔じゃなくて、少し困ったような笑顔

私は赤くなった顔を隠すように迅へとすり寄った

ガチャ


「着いたぞ」

『……うん………』

迅は私をベットに下ろすと布団を被せた

「何か食べる?」

『いらない』

「何か食べないと。朝から何も食べてないんでしょ?」

『…………面倒なサイドエフェクトね……。わかったわよ。食べればいいんでしょ』

「ん!じゃあ、お粥作るな」


そう言ってキッチンへと消えていく迅を見送って目を閉じる



布団からは迅の匂いがして迅に抱き締められている気がする
でも、どうしてだろう
お腹の辺りが重いような………

『きゃああっ!?』

「あ、起きた」

『じゃなくて!離してよ!』

私は横になった迅に抱き締められていた
至近距離に迅の顔があって、顔に熱が集まる


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