第39章 バレンタイン―――奈良坂透
両思いだったことに嬉しくなって朝霧の頭を撫でた
戸惑う朝霧だが、じっとして受け入れてくれる
俺はそれを良いことにしつこくなで続けた
『ちょっ………奈良坂っ………』
「何?」
『何じゃなくて、いつまでやってるの?』
「もうちょっと」
と言いながらも全くやめる気配がない
少し子供っぽい部分が見れたのはいいが、恥ずかしい気持ちが勝る
と、そこで、弁当をまだ食べてないことに気づいた
『ほ、ほら奈良坂。弁当食べないと!』
「ああ、そうだった」
思いの外あっさりと手を引いた奈良坂を見てほっとした夏海だったが、これから先、奈良坂のスキンシップが激しくなることなど予想もしていなかった