第26章 相棒―――迅悠一(番外編)
「ワンピースだっけ?」
『そうそれ』
「夏海」
名前を呼ばれて悠一を見ると手を差し出してきた
首をかしげると無理矢理手を取られて指を絡められる
『悠一っ……///』
「いーだろ?付き合ってるんだし。意外と照れ屋だな夏海は」
『……別に照れてない』
「ま、そこがまた可愛いんだけど」
私を見つめてくる視線に耐えきれずに顔を背ける
そんな私を見て悠一はあはは、と笑っていた
目当てのものを買って本部へと向かう間手は繋がれたままだった
『悠一………いい加減………離さない?』
「やーだ」
さらにぎゅっ、と握られて鼓動が速くなる
その後、顔見知りの隊員に会ったりして、かなり疲れた私は悠一と共に支部に帰った
悠一の部屋に入って、ベットに体を預ける
『悠一が手なんか繋いでいくから』
「悪い虫がつかないようにするためだよ」
『なにそれ』
「だって、夏海モテるでしょ」
『別にモテてない。告白されたことなんてほとんどないし』
「それは、夏海が休み時間にずっと寝てたからでしょ?大学も行ってないし」
『あ、そうか』
「俺からしてみればラッキーだったけど」
『?』
「だって。そのお陰で今夏海と付き合えてるわけだし」
悠一は私の頭に手を乗せて、ニッと笑った
『悠一以外から告白されても付き合うつもりはなかったし』
悠一の笑顔がかっこよくて、顔を背けながら言うと、悠一は目を見開いたあと抱き締めてきた
『わっ!』
「もー!ほんっと可愛い!未来で視えてたけど生で言われるとめちゃくちゃうれしい」
『わかったから、悠一、苦しい』
ポンポンと背中を叩くとニコニコしながら解放してくれる悠一は、付き合うことになってから、ドストレートに気持ちを伝えてくるため、ドキドキしてしょうがない
だが、好きな人に好きとか、可愛いとか言われて嫌な人はいないはずだ
少なくとも私はすごく嬉しい
悠一には言わないが、決して
だから、私もたまには自分の気持ちを素直に伝えてみよう
『悠一』
「んー?」
『大好きだよ』
「……やっぱ、ちょー嬉しい」
口元を手で覆い、顔を背ける悠一を見て私は微笑んだ