• テキストサイズ

ワールドトリガー【中・短編集】

第23章 うそ――烏丸京介


「夏海、好きだ」

京介は私の前の席に座って真顔で言った
読んでいた本から視線をあげてまた、本に戻す

『うそでしょ。小南先輩と一緒にしないでよね』

小南先輩は物凄く騙されやすい
だが、一緒にされるとは困ったものだ

「いや、マジで」

『え?』

もう一度京介の顔を見ると本当に真剣な目をしていた
うそはついていないようだが、それはそれで困る

『え?うそじゃないの?』

「人の告白をうそと勘違いするなんてひどいな」

『日頃うそつきまくってるでしょ』

「そんなにうそついてない」

『どうだか』


その時廊下から京介にお呼びがかかった

「か、烏丸京介くんいますか?」

二人でそちらを向くと可愛らしい女の子が顔を赤くして立っていた
その後ろにはその友達か、2人が見守っている

京介を見るとあからさまに嫌そうな顔をしていた

『行ってあげなよ。あの子京介のことすきだよ、多分』

「嫌だ。面倒くさい」

京介は私の机に突っ伏した
ここは女の子達がいる入り口から一番遠く、私たちの間に何人か人がいるため見えにくい
恐らく、まだあの子たちもこちらには気づいていないだろう

『今までなら、優しく行ってあげてたのに、どうしたの?』

「そんな気分じゃない。あいつら早く出ていってほしい」

『全く………』


だが、そんな京介の願いは叶わず女の子達が入ってきた
そして、私の机の前で止まる

顔を赤くしていた女の子は私を見るとキツく睨んできた

「あの、烏丸くん。ちょっといい?」

だが、京介は顔をあげない

私は小さくため息をついた
京介は何があっても顔をあげないつもりだろう

『ごめんね。きょ……、烏丸くん、今日はちょっと体調が悪いみたいで……』

あえて烏丸くんと言ったのはこれ以上ゴタゴタにならないためだった
しかし、女の子はさらに私を睨む

「部外者は黙ってて。私は烏丸くんに用があるの」

『………あら、でもここは私の机だし。口出す権利くらいある』

「………じゃあ、すぐに烏丸くんと出ていくから黙ってて」

「俺は出ていかないけど」

驚いて京介を見ると不機嫌そうに女の子達を睨んだ

「烏丸くん!ちょっと話が……」

女の子の声はさっきよりも高く、睨まれているのにも関わらず顔がほんのり赤い

/ 345ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp