第1章 傷心旅行
「…ばーか」
初めてできた彼氏は3日で親友に奪い去られた。
仕事も手につかず、ふらふらとした私に周りは遠出することを勧めた。
とはいえ、自分のために稼いできたお金。
あんなやつのために使っていたら…なんて考えると、さっさと自分で消費してしまおうと思った。
「楽しく旅を!」
そして周りに言われるがまま、私は寝台列車へと歩みを進める。
初めての一人旅。
それがまさか傷心旅行になるなんて。
「ここかな」
寝台列車…もとい夜行列車は奮発してダブルの個室を選んだ。
車窓からの景色もいい感じだ。
「んー、」
ただひとつ、乗車して数分ではあるものの、今だに女性客が見当たらない。