• テキストサイズ

【SS合同企画作品】Color

第5章 女心と秋の空



『私と別れて』

部活に行こうと教室を出た。
その瞬間、そう言われた。
突然すぎて頭の中で整理ができない。
しかし、1秒もあれば俺の頭は冷静にそれを処理した。
どうやら俺は一つ年上の彼女、さんにフラれたらしい。
付き合ってまだ一ヶ月も経っていないと言うのに。

理由はわからない。
わからないけど、きっと俺が悪いんだろうと思う。

「……わかりました、別れましょう」

本当は別れたくない。
大好きな人だから。
大切にしたいって、傍にいたいって思えた人だから。
でも、俺の我儘で彼女を縛り付けたくはない。

自分の本心を隠して、俺は大好きな人との繋がりを切った。

彼女は踵を返して、何処かへ行ってしまう。
俺は、そんな背中を見送ることもせず部室へ向かうために外へ出た。

外は大雨が降っていた。
先ほどまで晴れていたというのに。
秋の天気は移り変わりが激しい。
彼女の心の移り変わりも激しい。

女心と秋の空とはよく言ったものだ。




/ 16ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp