第2章 殺人犯【解答編】
病室で俺に手錠をかける刑事に俺は尋ねた。
「俺はどこでしくじった?」
どこにも俺が犯人だと分かる要素は無かった筈だ。
刑事は分かりやすく三行で回答してくれた。
「女性は亡くなっていません。そしてあなたに突き落とされたと証言しました。」
「そもそも殺人事件は起きてない。殺人犯なんて居なかったんですよ。なのにあなたは『殺人犯を見た』と証言をした。」
「つまり『殺すつもりで突き落とした。』と自白したようなものだったんですよ。」
彼女の安否を聞く前に「殺人犯と自白」しちまった俺を、刑事たちは彼女が回復し俺が犯人と証言するまでの間「目撃者」として俺を病院の個室に軟禁していたわけだ。
俺は彼女の瞳に映った「人を殺そうとする自分」を「殺人犯」と表現してしまった。
俺は嘘など吐いてはいない。
結果、殺人事件は起こらなかったが、「殺人犯」は確かにいたんだから…
FIN