第8章 その距離、13.5センチメートル。~獄寺隼人~
『ここでするの!?』
周り人いないけど!
「ほのじょーほぉー、へっほーふかれるんらから早くひろよ(訳:この状況結構疲れるんだから早くしろよ)」
どうやら獄寺君には恥ずかしさとかないみたい。
でも、チャンスだ。
たとえ罰ゲームっていう口実でもいいから、獄寺くんからの「好き」が聞きたい。
あたりをもう一度見渡し、深呼吸をしてチョコをくわえる。
獄寺くんと目が合う。
その距離、13.5センチメートル。
___伏し目になって、目を合わせようとしない。
俺がチョコに到達したところで、いよいよ目を瞑って、進行をやめる。
何だコイツ、自分から誘ったくせにびびりやがって…
まぁいい。俺が勝つのは始まる前から決まってる。
俺が勝ったら、『隼人』って呼ばせてやる。
だってよ、いくら幼馴染だからって、他の男(野球バカ)は呼び捨てで彼氏の俺は苗字+くん呼びっておかしいだろ?
むかつくんだよ、俺よりアイツが上みたいで。
鼻息がかかる。
唇まで、その距離5センチ。