第8章 その距離、13.5センチメートル。~獄寺隼人~
獄寺くんとは、ただのクラスメイトだった。
同じクラスの山本武とは父親同士が学生時代同じ道場の門下生で、保育園からの幼なじみ。
笹川京子と黒川花とは小学校からの親友で、今でも頻繁に泊まりあいっこをしている。
沢田綱吉ことツナくんとは家が隣同士で、母親同士仲が良く、互いの家でしょっちゅう女子会をひらく仲。
そんな繋がりで、転校当初から武とツナと行動を共にする獄寺くんとは、他の女子よりは接点が多かった。
着崩した制服に、派手なアクセサリー。
よく遅刻はするし、先生や先輩に反抗的で喧嘩っぱやい【不良】なのに、勉強ができて、おまけに帰国子女でイケメン。
獄寺くんを好きな女子はたくさんいるけど、私は「武とツナくんの友達」という認識でしかなかった。
けれど、ひょんなことから10年後の未来へタイムスリップし、共同生活するうちに、顔を合わせるたびに顔が熱くなって、想うたびに胸がドキドキした。
彼が怪我をしたときは、張り裂けそうなほどに胸が締め付けられた。
そして、元の世界に戻ってきた日、獄寺くんに告白され、
私達はカップルになった。