第7章 仁義なき戦い~ディーノ先生~
放課後、並盛中学校。
俺、新任の英語教師ディーノ(実はイタリアンマフィアのボス)は、
一般の生徒や教師がきやすく足を踏み入ることのできない、”並盛の秩序”・風紀委員会の活動場である応接室へと向かっていた。
「ディーノさん。お疲れ様です」
こいつは並盛中学校風紀員会副委員長の草壁。
恭弥の忠実な部下だ。
恭弥はともかくとして、こいつは100%中学生ではない。
ロマーリオの横に並んでいても不自然さのない老け顔。
というか俺イタリア人だから知らないが、リーゼントって今時流行ってんのか?
というか風紀委員は全員リーゼントなのに、風紀委員長だけノン・リーゼントってどうなんだ。
「何してるんだ?」
応接室のドアに聞き耳たててる姿は傍から見れば不審すぎるぞ。
「いえ、・・・ディーノさんこそ、こちらに何か」
「恭弥に17時までに仕事終わらせて来い、じゃないとボンゴレリング捨てるって脅しがあってな。恭弥は中にいないのか?」
「委員長は、ただ今…」
【~~~~!】
【~~~~~。】
ドアに近づくと、中から話し声が聞こえた。
「今は入らないほうがよろしいかと」
「俺は呼ばれた側だぞ?」
「そう・・・ですが、」
「中に誰がいる?」
「…妹君と対談中です」
「か!なら、大丈夫だろう!」
「し、しかし!」
草壁を押しのけドアノブを回す。
「おーい恭弥ー約束通りきてやったぞ……」
『だーかーらっ!!ポッキーの方が良いに決まってるでしょ!何故ならプリッツにはチョコがかかっていない!チョコがかかっているポッキーの方がお得で2種類の味が楽しめる!はい論破!』
「君は夏にポッキーを食べたことがないのかい?袋から一本取り出そうとした瞬間、チョコが溶けて全てくっついてしまうんだよ、あんなの欠陥商品じゃないか、その点プリッツは冷蔵庫に入れておく必要もなし、春夏秋冬年中美味しく食べられて糖分の心配もない。はい論破。」
『うぐっ…
ぜ、全国のポッキー信者に謝れ!というかグリコさんに謝れ!
恭にぃ知らないの!?去年の11月12日の惨劇を!スーパーで!コンビニで!ポッキーは完売!一方プリッツは…』
「結局は君も草食動物、弱いばかりに群れを成す。友達がポッキー派ばかりだから自分も、ってそんなの好きって言えないよ。妹ながら情けない」