第1章 記念日~10年後 雲雀恭弥~
『うん、美味しい。』
デミグラスソースが出来上がり、夕食の準備が整った。
メインのデミグラスハンバーグを始め、ほうれん草のおひたしに豆腐とネギのお味噌汁、かぶと鶏ひきにくのあんかけ、牡蠣の炊き込みご飯、きんぴらごぼう、ブリ大根といった和食。どれも彼の好物ばかり。
あとは、帰りを待つのみ。
ガチャ
『おかえりなさいっ』
扉が開く音がし、慌てて玄関に向かう。
「・・・!ただいま。」
私の姿を見るなりほくそ笑んだ。
『え・・・何かおかしい!?』
「いや・・・君のエプロン姿、久しぶりだなぁって。嬉しいんだよ」
こどもみたいに頭を撫でられ、なんだか恥ずかしくなった。
『先にお風呂にする?それともご飯?』
「ご飯・・・だけど、その前に渡したいものがあるんだ」
渡された白い箱。その中には、”anniversary xxxx年xx月xx日”の文字が刻まれた、真っ赤なバラのメッセージフラワー。
「いつもなに一つ不平不満言わずに僕を支えてくれてありがとう。これからもよろしくね」
【完】